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文字・段落スタイルの補習 その1

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先日、東京神田で行われた「DTPの勉強会 第18回」に参加させて頂きました。

IllustratorのテキストスタイルとInDesignのepub、InDesignのデータ結合、Illustratorのカラー関係とバラエティに富んだ内容でした。

主催者のあかつきさんからの依頼で、ブログで書いたIllustratorの段落/文字スタイルを再編集して原案としてお渡ししたところ、なぜか登壇するはめに(といっても座っていただけ^^)。実際はhamkoさんとあかつきさんの進行なので、やはり私はいなくても良かった気が…。

ともかくご来場頂きました皆様、ありがとうございました。

それにしてもhamkoさんの華麗なデモ(サンプルも綺麗!)には見とれてしまいました。実は直前まで内容が確定していなかっ(モゴモゴ)ですが、そこからあの完璧な操作と語り。まじすげえっす。

私には100年かかっても登壇デモなど不可能と確信しました。あそこまでの内容をあの時間で伝えられたのはお二方のスキルあってのこと。私がやっていたら半分も伝えられなかったでしょう。

さて、スタイルのセッションは基本編・応用編で80分もあったのですが、それでも時間が足りませんでした。伝えたいことはいっぱいありましたが、全て盛り込んだら一日がかりになるでしょう。というわけで泣く泣く削ったのですが、内容不十分と感じた方は本当に申し訳なかったです。

その点は私も心残りなので、伝えたかった分をこちらで紹介させていただきます。今回は勉強会の延長戦という意味合いですので、参加されていない方にはわからないことがあるかもしれません。申し訳ありませんがご了承ください。




スタイルの使い分けについて


InDesignユーザの方は理解されている方も多いと思いますが、普段スタイルを使わない方は段落スタイルと文字スタイルはどう使い分けるの? と思うかもしれません。

文字属性部分は丸かぶりしているわけですから、「フォントとサイズだけを変えたい」場合はどちらを使えば良いのやら迷ってしまいますね。

まず段落スタイルと文字スタイルでは適用できる最小単位が違います。段落スタイルは1段落単位、文字スタイルは1文字単位。

なので段落単位で変わるもの、例えば見出し、本文、キャプションなどのレベルごとに段落スタイルを適用し、一部の文字を太字や赤字に変更する場合に文字スタイルを使用するのが一般的です。(HTMLならば段落スタイルがhやp、文字スタイルがspanという感じでしょうか。)

↑段落スタイルは一部文字の選択でも段落全体にかかっていることに注目!


Illustratorの場合、ポイントテキストを選択ツールで選択して「フォントとサイズだけを変えたい」ならば、ぶっちゃけどちらでも良いわけです。



ただし、同種のスタイルは重ねがけできない、優先順位がある、段落スタイルは段落設定(揃えや文字組み等)も同時に適用されることなど、スタイルの挙動の違いを理解して用途に合わせて適正な方を使いましょう。



段落スタイル適用はカーソルを立てるだけでOK


「属性変更のない段落」はカーソルを入れてスタイル適用するだけで段落全体にスタイルを適用できます。文字全てを選ぶ必要はありません。



これは作業する上で効率アップになるのですが、デモでは次項の理由から説明が必要になるのであえて文字全体を選択して適用していました。


option+クリックで属性変更削除スタイル適用(windowsはAlt+クリック)


属性変更のあるテキストにスタイルを適用してもスタイルは下に潜ってしまうという挙動ですが、スタイル適用時にスタイル名をoption+クリックすると、属性変更を削除して強制的にスタイルを適用できます。

ただし、段落スタイルで属性変更があるときはカーソルを立ててoption+クリックでは属性変更削除はできません。属性変更のある文字を選択して実行する必要があります。






同種スタイルの重ねがけはできない


同種のスタイルはひとつしか適用できません。
別のスタイルを適用すると、元のスタイルははじき出されます。




改行と強制改行


Illustratorではポイント文字を使うケースも少なくありません。ポイント文字では特に折り返しを改行で入れることが多いですが、改行を入れてしまうと段落が分かれてしまいます。段落を分けたくない場合は強制改行(シフト+改行)使います。

↑3行目と4行目は強制改行なので1つの段落と認識しています。改行マークの違いに注目!


段落スタイルの統合


1段落に適用できるスタイルは1つなので、プレーンな段落スタイルを別段落へコピペしたり改行を削除して同一段落にした場合、スタイルが統合されてしまう仕様になっています。

↑プレーン状態の別段落スタイルの改行を削除すると前の段落に統合されてします。またコピペでも属性を維持できません


これ実はかなり危険です。 コピペや改行削除で属性が変わってしまうのはスタイルを使わないIllustrator作業では起こりえないので、段落スタイルの統合は特に注意が必要です。
ちなみにInDesignでは差分は属性変更に繰り上がってから統合されます(見た目は変わらず)。



ドキュメントをまたいだときの挙動


スタイルが適用されたテキストを別ドキュメントにコピペすると、スタイルも複製されます。

↑スタイル適用済みのテキストを新規ドキュメントにコピペすると、スタイルも取り込めます。




コピー元とコピー先に同種同名のものあるときはコピー先のスタイルに統合されます。

差分は属性変更として再設定されます(スタイル+属性変更)。つまり見た目は変わらないけれど、内部構造は変更されてしまいます。

↑内容の違う同名のスタイルは内部的にコピー先に統合されますが、属性変更扱いで見た目は維持されます


初期設定の標準文字スタイルと標準段落スタイルは名称を変更できませんので、初期設定が違うドキュメントを跨ぐ際は必ず差分ができます。スタイルの統合トラブルに特に注意しましょう。




スタイルの初期設定はどこに?


スタイルの初期設定は新規書類を開く際に選択する新規ドキュメントプロファイルの設定が反映されます。



これを利用して予めスタイルをドキュメントプロファイルに仕込んでおくことも可能です。これはテンプレート(ひな形)も同様です。

ドキュメント作成後はドキュメント依存になります。



スタイルに関してはアンドゥが効かない


という仕様です。スタイル関連は操作を間違えないよう注意しましょう。文句はAdobeさんへ。


アピアランス


スタイルでカラーを指定してもアピアランスの階層により、アピアランスのカラーが優先されることがあります。また、アピアランスで変形した場合文字パネルでは正確な数値を確認できません。

↑赤い文字が元のテキスト。アピアランスだと属性変更の上にカラー属性を適用できる。
また変形効果で200%拡大しているので青い文字は33.86Qということになる。アピアランスはオブジェクトの属性なので、今回は説明を省きました。


スタイルの解除


スタイルの解除はスタイルを削除するしかない→そのまま標準スタイル+属性変更になります。


一部の解除(InDesign でいうリンク切断)はできないので、別ドキュメントへコピペして解除して戻すとかいう力業しかありません。

またInDesign のようにドキュメントレベルでのスタイルのすげ替え(削除して別スタイルへ変更)もできません。


ショートカット


InDesignと違いIllustratorではスタイルにショートカットを割り当てられません。でも実はアクションでショートカット化は可能です。



↑アクションで段落スタイル1をF1に割り当て。いちおうショートカット化

ただしスタイルの種類と名前で判別するので、ガチガチにスタイル名などを決め打ちすれば何とか使えなくもないけど正直汎用性は低いです。


「コピペで化けるバグ」がある

スタイルが適用されているテキストをコピペするとスタイルが化けてしまうというバグがあります。これは以前Twitterで話題になり、ヒサノさんがまとめてくださった記事補足した記事ありますので参考にしてください。

検証の結果、原因としてはAdobeデフォルトのドキュメントプロファイルを使うとバグるという線が濃厚。バージョンによって違うようで最近のものは修正されているようです。

ちなみに、ものかのさん作のScriptkeyAiCiPT(共にMac専用)でプレーンペースト機能を使えばコピー先の属性を維持できるので、コピー先スタイル維持ならこちらを使っておくと安心です。


設定パネルにバグがある


※こちらはラーデ様に教えていただいき流星さんにも検証協力していただきました。情報提供ありがとうございます。

1、タブ位置に数値入力するとフィールドに全く違う数値が表示される(CS6以降)。実際は入力した位置になっているが、入力値を確認できないのは困りますAdobeさん。

↑いやいやいやいや。10って入力したよね。何で勝手に11.8にしてんの? でもタブストップは10mmのとこ指してるし。



2、タブの繰り返しの数値がおかしくなる。これはスタイル以前に機能として狂っていますAdobeさん。

↑いやいやいやいや。20mmってなってるけど17くらい指してるよね。次のも30mmって表示されるけど、26くらいだよね。これ、最初の数値がズレたまんま繰り返しているんですよね。あ、逆算すればいいのかっておい!



3、ジャスティファイの値が設定パネルを開くと吹き飛ぶ。これは致命的なバグな気がしますねAdobeさん。

↑自動行送りを設定して、


↑パネルを2回開いたら消えちゃいましたー(CS5)。私の環境ではCS6では大丈夫だったっぽい。



なんでやねんDTPさん(works014さん)が段落スタイルについて記事を書かれています。その中に「「カスタム段落スタイル」の一部の設定項目については、一度適当に設定を変えてから元に戻すという動作が必要な場合がある(再確認必須)」とあり、他にもちょこちょこバグがあると推測されます。

スタイルに限らずバグを回避しながら使うのはIllustratorの宿命です。初心者には厳しいかもしれませんが、地雷の場所を把握して踏まないように注意しましょう。

スタイル周りはバグや不思議仕様が散りばめられているので、「使わない」というのも一つの選択肢です。特にデータが行き来する現場などでは全ての人がバグを認識しながら回避するのはほぼ不可能ですから。



スクリプトは属性変更に注意


スクリプトによって属性変更削除の処理が違っているので、スクリプトの処理とテキストの状況を把握しておく必要があります。

今回ご紹介した「正規表現を使ってテキストをいじる3.0」は強制削除、「aiRegStyle」はチェックボックスによる選択式です。

↑aiRegStyleはclearing overridesにチェックを入れると属性変更を削除してスタイル適用



また、現在は非公開(持っている人はラッキーですよ!)ですが、PICTRIXさんのRegXもチェックボックスによる選択式です。

↑RegXは書換チェックで属性変更削除


確信犯で標準スタイルを変更


初期設定スタイルを変更すれば、新規で打つ文字が指定の文字になるので、仕様を理解した上で確信犯的に使うのはアリと言えばアリ。新規ドキュメントプロファイルで管理できるので、特定の仕事ごとにプロファイルを分けておけば比較的容易に運用できます。


システマチックに使うのでなくプチ時短ツールとして割り切る


InDesignと違いヤッツケ感の強いIllustratorのテキストスタイルでは、属性変更を一切使わずにスタイルを管理するのは至難の業。どこまでがスタイルが生きているか等を気にするくらいなら、初校のテキスト整理用として使ったり、いっそスタイルを一切削除(テキストのアウトライン感覚)して、使い捨てと割り切っての運用も考えられます。


応用編へ続く



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